照りつける太陽が、肌と心を焦がしていく。
空の黄金色は、容赦することを教えてはくれない。
ピーピー諸島。
映画「ザ・ビーチ」のロケ地として使用された島。
観光地化が著しく進み、今では多くの飲食店やゲストハウスが乱立し、一つの無国籍な小さな町を形成している。
クラビーからは船で1時間半ほど。
空と海の抱えきれないブルーが、ファインダーの中で彩りを作りはじめた。
港に着き、桟橋を渡る。
まずは宿を決め、荷物を置く事にする。
島内の町は、小さな飲食店や土産屋がひしめきあっていて、狭く、細かく分岐した道は迷路のように複雑だ。
奥のほうへ行くと、少し落ち着いた雰囲気になるが、何度か道に迷ってしまう。
だけど、そんな場所が今日の宿だ。
荷物を置き、歪んだ煙を見つめながら、少しの休息をとる。
この島の山頂へ昇る。
軽い登山のような感覚。足が悲鳴を上げている。
島を一望できる、ビューポイントに着く。
絵のような構図と配色で広がるパノラマが待っていた。
カラカラに乾いた体にソーダとその景色が染み込んでいく。
陽が落ちるのを待った。
東から西まで広く見渡せる空が、時間のグラデーションを描いていく。
この島は急ぐ事を知らない。
時間を忘れてしまった恋人達や、家族や仲間を、太陽がゆっくりと赤く染めていった。
町では、海辺の夜のパーティーが始まっている。